挿し木に適したバラの品種
バラを挿し木で増やす方法は、手軽に挑戦できるガーデニングの楽しみのひとつです。
ただし、どんな品種でもうまくいくとは限りません。挿し木の成功率は、選ぶバラの種類によって大きく変わります。
このページでは、挿し木に向いているバラのタイプや、注意すべき品種について詳しく解説します。
初心者におすすめの品種
ミニバラ(ポリアンサ系・パティオローズ)
ミニバラは小型で扱いやすく、鉢植えでも育てられるため、初心者に特におすすめです。
枝が細く、柔らかいため水を吸いやすく、発根もしやすいのが特徴です。ベランダなどの限られたスペースでも育てられ、見た目も可愛らしいので人気があります。
特に、ホームセンターや園芸店で手に入りやすいポリアンサ系やパティオローズは、病気にも比較的強く、育てやすい傾向にあります。
フロリバンダ系(四季咲きの木立性バラ)
フロリバンダ系は、木立性でまっすぐ育つタイプのバラで、切りやすくて挿し穂が取りやすいのがポイント。挿し木の成功率も高く、繰り返し咲く四季咲きタイプが多いため、成長後も長く楽しめます。
比較的病気に強く、剪定や管理も簡単なものが多いため、初めての挿し木にはぴったりです。具体的な品種としては「アイスバーグ」「レディ・ヒリンドン」などが挙げられます。
品種名 | 花色 | 特徴・魅力 |
---|---|---|
アイスバーグ | 白 | 挿し木初心者の定番。丈夫で病気に強く、開花数も多い。 |
レディ・ヒリンドン | アプリコット | 柔らかい色合いと香りの良さが魅力。上品なアンティーク調の花姿。 |
ラディッシュ | 赤 | 鮮やかで可愛らしい丸い花。コンパクトで鉢植えにも最適。 |
※ブランド・登録品種(パテント品種)の挿し木は個人利用の範囲に留めましょう。
🌹 アイスバーグ(Iceberg)
アイスバーグは、1958年にドイツのコルデス社によって作出されたフロリバンダ系の白バラで、1983年に世界バラ会議で殿堂入りした名花です。
四季咲き性で、半八重の白花を房咲きにし、香りはほのかなティー香。枝はしなやかで棘が少なく、耐陰性にも優れています。
枝変わりとして、つるアイスバーグやピンクアイスバーグなどもあります。
品種紹介(京阪園芸):
👉 アイスバーグ(FL) | 京阪園芸ガーデナーズ
🌼 レディ・ヒリンドン(Lady Hillingdon)
レディ・ヒリンドンは、1910年にイギリスで作出されたティーローズで、アプリコットイエローの大輪花が特徴です。
強いティーの香りを持ち、四季咲き性で春と秋に多くの花を咲かせます。
枝は細くしなやかで、花の重みで優雅にしなる姿が魅力的です。
日本では「金華山」という別名でも親しまれています。
品種紹介(篠宮バラ園):
👉 レディ ヒリンドン |バラ苗の通販の篠宮バラ園
🌹ラディッシュ(Radish)/赤系の四季咲きフロリバンダ
💡 特徴
鮮やかなローズレッドの中輪花(やや丸みがあり、可愛らしい印象)
四季咲きで春から秋まで繰り返しよく咲く
病気に強く、株がコンパクトにまとまりやすい
枝が比較的まっすぐで、挿し木に適した硬さ&太さ
香りは弱いが、花もちが良く庭植えにも鉢にも向いている
🌱 挿し木のしやすさ
茎が適度に硬くて扱いやすく、発根もしやすい
挿し穂の確保がしやすく、剪定時の枝がそのまま使えることも◎
挿し木に不向きなバラのタイプ
初心者さんには少しハードルが高いバラもあります。
つるバラ(クライミングローズ)
つるバラは、枝が太く木質化しやすいため、挿し穂として適した部分を切り出すのが難しい傾向にあります。また、発根に時間がかかる場合もあり、初心者にはやや不向きです。
もちろん成功することもありますが、管理のハードルが少し高いため、ある程度慣れてから挑戦するのがおすすめです。
一季咲きのバラ
春だけに咲く「一季咲き」の品種は、成長サイクルが年に一度のため、挿し木に適した時期が限られます。また、休眠期の枝を利用する必要があるなど、知識と経験が少し必要です。
まずは四季咲きタイプで練習し、慣れてきたら一季咲きにもチャレンジしてみましょう。
品種選びの注意点:登録品種とパテントについて
ブランドローズには繁殖制限がある場合も
最近では、「デルバール」「河本バラ園」「ローズファームケイジ」「京阪園芸」など、ブランド系のバラが人気を集めています。
これらの品種の多くは「育成者権」(品種登録)によって保護されており、無断での増殖・譲渡・販売は法律で禁止されています。
家庭用でも繁殖がNGの場合あり
一部の登録品種では、「個人で楽しむ目的であっても、増殖そのものがNG」とされているケースもあります。
購入時のラベルや説明書に「品種登録済」「PVP(Plant Variety Protection)」の記載がある場合は、挿し木を控えるようにしましょう。
不安な場合は、農林水産省の「品種登録データベース」で確認することもできます。
📌ワンポイント:
品種登録は新品種を守るための制度です。ルールを守ることは、育種家さんへのリスペクトにもつながります♪
まとめ
挿し木にチャレンジするなら、まずは成功率の高い品種から始めてみましょう。
育てやすく、病気に強い品種を選ぶことで、挿し木後のお世話も楽になります。
そして、品種の増殖に関するルールにもきちんと目を向けながら、バラのある暮らしをていねいに楽しんでくださいね🌹